第8夜

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「相変わらず肉食獣みたいな女ですね……」 「この前、遥と来た時はおとなしかったんだけどな…」 怖くてと言いながらも、冴子は全然怖そうではなかった。ヤクザに絡まれて店の看板まで割られたのなら、もっと怖がってもいいと思うのだが。 山根の中で、冴子に対する不信感が募る。 「本当に……よその組の者がちょっかい出しているのでしょうか……」 「ん?何か言ったか?」 山根は「いえ、何も」と答えると、誠吾を急かして店から離れた。 どこからか、誰かに見られているような気がする……。それは誠吾も感じていたようだ。 「何か……良くねぇ感じがするな」 「殺気ではありませんけど……嫌な感じですね」 店から離れて通りに出ると、もう嫌な感じは消えていた。 冴子の店の周囲で、何かが起こっている。 遥の高校と、冴子の店は距離が近い。 夜には組員を常駐させて様子を見ようと山根は思った。 事務所に戻り、残った仕事を片付けてから家に戻ると遥が玄関に出迎えてくれた。 「おかえりなさい。お疲れ様、です」 にこにこと笑う遥の額に手を当てても、熱感は感じられず熱は下がったようだ。 「遥ただいま。熱は下がったみたいだな」 「少し寝たら、下がって、ました」 もともと大した事なかったんですよと言いながら、遥は一緒に帰って来た山根にご心配おかけしましたと頭を下げた。
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