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「誠吾さん、凄いです。仕事もできて、強くて、頭もよくて…。僕なんかには、勿体ないくらい……です」
「またお前はそういう事を言う……。俺の方が遥みたいな可愛い子と付き合えてラッキーなんだからな」
誠吾が遥の頭をガシガシ撫でると、遥は声を上げて笑った。
ずっとこうやって誠吾と笑いあって暮らしていけたら、どんなに幸せだろう。
頑張って誠吾に釣り合うような人間にならなければと、遥は改めて思うのだった。
「遥、ハンカチ持ったか?」
「はい」
「教科書は忘れてないか?」
「はい」
「ティッシュは……」
「誠吾さん、準備はちゃんと、しましたから。大丈夫です」
久しぶりに遥が登校する日、遥以上に誠吾の方が緊張しているようだった。
それもその筈である。
今日から誠吾も、遥の高校に臨時講師として着任するのだから……。
「誠吾さん、教員免許を、持っていたのですね」
「まさかこれを使うことがあるとは思わなかったけどな」
遥の護衛の為に、正蔵が知り合いだった校長に直談判して悟が捕まるまで、教員として組員を学校に潜らせて欲しいと頼んだのだ。
正蔵の予定では、教師に向いていそうな山根にその役目を任せるつもりだったのだが…。
『俺も教員免許持ってるぞ。遥を守るのなら俺が一番適任だろう?』
誠吾がそう言い張って譲らず、遥と一緒に高校に通うことになった。
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