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食堂には他の学年の生徒も居たが、人数も少なくばらばらに別れて座っていた。
遥は青山と窓際の席に座った。
「涼太さん、給食なんて久しぶりです。美味しそうですね」
「懐かしいですけど……遥さんの料理の方が絶対美味いです」
楽しそうな遥と向かい合って給食を食べていると、青山もなんだか楽しくなってくる。
姐さんを独占できて組の奴らは羨ましがるだろうな……。
「あれ………。島村さん、一人ですね」
人と話すのが苦手と言っていた島村瞳は、給食室の隅に一人で座っていた。
俯いてもそもそ食べる姿から、声は掛けないでくださいと物凄いオーラを発している。
「そっとしといて欲しいんじゃないすか?」
「そうかもしれないけど……。ちょっと声だけ掛けてみますね」
「あ、いや、遥さん…………」
青山が止める前に遥は席から立ち上がって島村のところに声を掛けに行った。
その姉ちゃんは話しかけないでくださいって言ってたじゃないか。
姐さん、チャレンジャーだよ……。
青山も急いで立ち上がって遥の後を追う。
「島村さん、一緒に食べませんか?」
「いや、その……私なんかと食べても楽しくない、と、思いますので……」
ほら、やっぱり一緒に食べるなんて無理じゃないか。この姉ちゃんも姐さんのご好意を無下にしやがって……。
遥は島村の隣にしゃがんで、下から俯く島村の顔を覗き込んだ。
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