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「私は眠らされただけで怪我もなくて……。尾崎君は大怪我したって聞いて心配してました。携帯も通じなかったし……」
「ごめんなさい。携帯、壊れて、新しいのに、替えたんです」
ゆっくりと話す遥に、瞳は違和感を覚えた。
遥はこんな話し方ではなかったはずだ。
「尾崎君……言葉が……」
瞳が言葉のことを聞こうとすると、遥の背後から山田が険しい顔をして瞳を睨んでいる。
青山も同様の顔をしていて、この件には触れない方がよいのだと瞳は察した。
「また、一緒に勉強出来て嬉しいです。戻ってきてくれてありがとう……」
「僕も、戻れて、嬉しいです。また、よろしく、お願いします」
瞳と笑顔で話す遥は、とても楽しそうだ。
青山は、遥の楽しそうな顔が見られて嬉しかった。
組のためにいつも笑顔で働いてくれる遥には、少しでも自分の為にやりたいことをやって欲しいと思っているからだ。
今回は誠吾も学校に居る。
悟が捕まって遥に脅威が及ばないと分かるまで、皆で気を引き締めて守らなくては…。
「しかし驚いたよね。池田先生、優しそうだったのに、生徒に暴力振るうサイコ野郎だったなんて……」
ヒカルが話に入ってきて、呆れたように言うのを遥は黙って聞いていた。
同級生達は、池田先生一人の犯行だったと思っているようだ。
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