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そう誤魔化した山田だったが、山田の心中も割り切れないものがあった。
状況的に仕方なかったとはいえ、遥に一度口淫されてから、山田は遥のことが気になって仕方ない。
誠吾と遥が深く愛し合っているのは、傍で見ていてよく分かっているので、遥とどうこうなろうなどとは思ってもいないのだが……。
瞳が報われない好意を遥に向けているのを見ると、自分のことのように胸がちくちくと傷んでいたのだ。
馬鹿みたいだ……。
フェラなんて、今まで女に散々されたことあるのに、どんな女に咥えられたのか全く覚えていない。
尾崎の感触だけがいつまでも残って……。
尾崎はもう忘れているみたいなのに……。
燻る思いに蓋をして、山田は黙って食堂に向かった。
食堂では、誠吾が他の教師と給食を食べていた。誠吾と歳の近い男性教師と女性教師に囲まれて笑顔で話す誠吾は、遥の知る誠吾とは別人のようだ。
いつもは野性味溢れる感じの誠吾なのに、学校でみる誠吾は優雅で知的に見える。
学校という場がそう見せるのか、誠吾の演技力が凄いのか……。
遥は誠吾が気になって仕方なかったが、なるべく誠吾の方を見ないように、給食を食べながら皆との会話に集中した。
同級生と談笑しながら給食を食べる遥を、誠吾は落ち着かない気持ちで見ていた。
青山と山田が一緒なのは許せる。
真凜と柴田も害がなさそうだ。
だが……。
ヒカルと言うホストは、やたら遥にベタベタ触るし島村と言う女は明らかに遥に色目を使っている。
他の学年の奴らも、チラチラ遥を見ている感じで………はっきり言って面白くない。
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