第9夜

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誠吾も、遥の登校初日は一緒に帰るつもりだった。 冴子の店の件は、東に頼んで誰かを寄越すつもりでいたのに、昼に冴子から電話があったのだ。 『今日の夜、例の奴らからまた行くぞって電話があったの……。今日、若様来て下さらない?』 冴子直々に指名されて、授業を終えた誠吾は仕方なく冴子の店に向かった。 冴子のカフェの閉店時間前に到着した誠吾だったが、ドアには『CLOSE』の札が下がっている。 今日の帰りに寄ると言っておいたはずだが……。怖くなって早めに店を閉めたのだろうか。 誠吾はドアを叩いて冴子の名前を呼んだ。 「冴子、俺だ。何かあったのか?何もなければ俺は帰るぞ」 誠吾が声を掛けると、中からカチャリと鍵の開く音がした。 誠吾は躊躇わずドアを開けて店の中に入った。 「若様………!」 誠吾が店に入ると同時に、冴子が勢いよく誠吾に抱き着いてきた。 冴子の衣服は所々破れており、それを見た誠吾が眉を顰める。 「乱暴されたのか……?相手は誰だ?!」 「二階堂……悟って、名乗ってたわ。若様に、必ず自分の名前を伝えろって……」 「あのクソが……!」 悟への怒りで目の前が真っ赤に染まる。 何故、冴子なのだ? 昔俺と寝たことはあっても、今は全く切れている。冴子を襲ったところで悟に何のメリットがあるのだ……。 「若様……、私、ここには居られない。また、あの人が戻って来たら……」 「仕方ないな……とりあえず今日はうちに来い」 誠吾はポケットから携帯を取り出すと、山根に電話を掛けた。
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