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「島村さん、僕は島村さんとお話してみたいです。迷惑、ですか?」
話しかけるなと言っても話しかけてくるこの人懐こい美少年は何なのだ?
島村は自分を覗き込む遥の顔をじっと見た。
悪気など全くなく、純粋に自分と話してみたいと思っているようだ。
「私……話、下手だし、ブスだし……」
「島村さん、綺麗な声ですね。歌とか聞いてみたいです」
にこにこしながら遥が言うと、島村は呆気に取られて……ふふっと笑った。
「尾崎君、変わってますね」
「そうですか?すみません…不愉快でしたか?」
「いえ…私なんかに、こんなにグイグイ話してこられるの、初めてで……ちょっと吃驚しました」
遥と島村のやり取りを青山は黙って見ていた。
話しかけて欲しくないと言っていたのに、島村は遥と笑って会話をしている。
俯いていた顔も上げて。
そういえば黒川組の組員も、全て姐さんのことは大好きだもんなと思い出す。
さすがは姐さんだ。
結局、給食は遥と青山と島村の三人で食べた。島村と遥は同い年ということが分かり、すっかり普通に会話をしている。
「そうですか。島村さんは不登校で高校に行けなかったのですね」
「中学の時に酷いイジメに遭って…。それから、人が怖くて」
「イジメなんかする奴は人間のクズっす」
青山がそう言うと、島村は驚いた様子で青山を見た。
強面の青山からそんな言葉が出るとは思わなかったのだ。
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