2795人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
「これから、仲良くしてくださいね」
ふわっと遥が笑うと、また周りはホワホワした空気に包まれた。
「よろしく、お願いします………」
尾崎君は不思議な人だな。
同い年だけど、何か今まで出会った人と全然違う。一緒にいるとホッとするような…。
初めて会ったとは思えないほど話しやすいし。
青山さんも、怖そうで口数も少ないけど悪い人じゃなさそうだし……。
初めて同級生と沢山話して、島村の胸はドキドキしていた。
給食の後、四時間授業が行われて終了したのは夜の九時半だった。
びっちり授業を受けて青山の頭はパンクしそうだったが、遥は楽しんで授業を受けていた。
休み時間には遥の傍には柴田や浦川などが集まってあれこれ話をして……。
すっかり遥はクラスの中で人気者になっていた。
たった一人、山田を除いては。
「涼太さん、楽しかったですね」
「マジですか?俺はもう詰め込みすぎて頭が痛いです…」
二人で話しながら昇降口に向かうと、下駄箱の前で山田に会った。
「あ、山田さん。お疲れ様でした」
遥の声掛けに山田はチラッと遥を見たが、無言で靴を履いて出て行ってしまった。
「あの野郎……。姐さんのことシカトしやがって……」
「山田さんも勉強で疲れたんですかね…」
遥は全然気にしていない様子だ。
青山が今日一日遥と過ごして気が付いたことがある。
姐さんは天然だ。
それも、ド天然。
素直すぎるし世間を知らなすぎる。
若頭があれほど大事にしている訳がわかった気がした。
純粋無垢な遥が心配で堪らないのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!