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遥だって家事や組員達の世話に追われているだろうに、時間を作ってきちんとやることをやっており…。
こんな出来た嫁他にいるかって言うんだ…。
冴子の奴、何も知らない癖に……。
冴子の好きにさせるのも明日までだ。
藤代組にぜひとも冴子を預かってもらおう。
翌日、誠吾は山根に佐山へのアポイントを取ってもらい、昼食を兼ねて佐山と会うことになった。
「じゃあ遥、行ってくるな」
「はい。行ってらっしゃい」
誠吾はいつものように遥を抱き締めて軽くキスをする。毎日していることなのに、遥は毎回赤くなって照れるので可愛くて堪らない。
「冴子の件だけどな、他所に預かって貰えるよう頼んでくるから。あと少しだけ辛抱してくれ」
「他所……?そこは、冴子さん、無事なんですか?」
冴子に散々虐められているだろうに、まだ冴子の心配をするのかと、誠吾は素直な遥を愛しく思う。
「ああ。あそこなら二階堂とも離れてるし、そこそこ大きい組だからな。うちに居るより安全だろう」
「そう、ですか」
冴子の身が安全と聞いてホッとした表情の遥の頭をポンポンと撫でると、誠吾は山根を伴って出かけて行った。
「遥ちゃん、アタシは買い物に行ってくるけど何を買って来ようか?」
遥が風呂場の掃除をしていると、マツが声を掛けてきた。
悟の驚異が去っていないので、買い物は組員を伴ってマツが担当している。
「今日は、生姜焼きにしようかと、思うので…豚肉と、玉ねぎを、お願いできますか?」
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