第10夜

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誠吾になるべく外に出るなと言われている。それに、非力な自分で冴子を守れるのか自信がないが……。 「今まで色々酷いことを言ってごめんなさい……。でも、取りに戻るなら今しかなくて……。遥さんにしか頼めないの……」 お願いしますと冴子が遥に頭を下げた。 あれほど自分を敵視していた冴子がこれだけ頼むのだから、応えてはあげたいが…。 軽はずみな行動で誠吾に迷惑をかけるのは避けたかった。 「誠吾さんに、聞いてから…」 「若様は大事な会食でしょう?30分もあれば行って帰って来れるから…。お願いします」 冴子の必死さに、遥は仕方なく頷く。 30分で帰ってこられるなら、誠吾に報告するまでもないのかもしれない。 それに、冴子の店は黒川のシマの中だ。 悟もすっかり気配を消しているし、少しだけ冴子に付き添ってあげるくらいなら大丈夫だろう。 「では、出かける支度を、してくるので、玄関で、待っていてください」 「ありがとう遥さん。本当に感謝するわ」 洗った浴槽を水で流し、遥は掃除で濡れてしまった衣服を着替えて玄関に向かった。 冴子がこんな頼み事をしてくるなど、自分に少しでも心を開いてくれたのかなと思うと嬉しかった。 「あれ、姐さん…。お出かけですか?」 冴子と連れ立って出掛けようとする遥に、門のところで見張りをしていた若い組員が声を掛けてきた。 遥が狙われていると知っている組員は、護衛に誰もついていないことに不審な目を向ける。
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