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「あ、誠吾さん………」
校門のところに誠吾が立っているのを見つけて、遥は嬉しそうに走り出した。
「遥、お疲れ様。学校はどうだった?」
「凄く楽しかったです。同級生もいい方ばかりでお友達もできましたよ」
ね、と遥は青山を見て笑っているが青山は微妙な顔をしている。
ああ……、これはいい奴ばかりではなかったのだろうなと誠吾は察した。
遥にとっては、世の中の人間は殆どが良い人なのだ。
自分が可愛いという自覚もなく、他人を疑うことも無い。どんな相手の懐にもすっと入っていける素直さが、遥の良いところではあるのだが……。
とにかく無防備なので、誠吾は遥を外に出すのが心配で堪らないのだ。
「給食が出たんです。懐かしくて美味しかったですよ」
「そうか。良かったなぁ」
「担任の先生も優しそうでした」
「そうかそうか。女の先生なのか?」
誠吾は担任が優しそうと聞いて、女の教師だとおもったのだが遥の答えは違っていた。
「いえ、男の先生でした。誠吾さんと同じくらいの年齢でしょうか……」
「何?男なのか?」
青山を見ると、申し訳なさそうな顔でうんと頷いている。
大事な遥を俺と同い年程度の男に任せるのかと思うと、誠吾の心はざわざわと騒ぎ始めた。
先生と生徒で間違いは起こらないとは思うが………。
遥は可愛いから心配だ…。
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