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遥が冴子に連れ出された時、誠吾は藤代組の佐山と会っていた。
冴子の件を話すと、佐山は快く冴子を預かると了承してくれた。
「ありがとうございます。しかし申し訳ないな…。うちと悟との揉め事に藤代さんとこを巻き込んでしまって…」
「いえ。黒川さんとは仲良くしていたいので。うちも二階堂悟には、薬の件で言いたいこともありますのでね…」
佐山は穏やかに笑っているが、こういう男こそ怒らせたら怖いなと誠吾は思う。
高校生である若頭にはまだ会ったことがないが、こんなにしっかりした配下の者が居るのだから藤代組の将来は安泰だろう。
佐山と、今後の二階堂への対応など色々話していた時、険しい顔をした山根が誠吾に近付いてきて「ちょっとよろしいですか?」と声を掛けてきた。
会談中に山根が割り込んでくるなど滅多にない話だ。家で何かあったのだと誠吾は察した。
勘のいい佐山も察したのだろう。
「それでは、私もこれで失礼します。冴子さんはいつお連れになって下さっても大丈夫ですから」
「ああ、済まない。よろしくお願いします」
佐山が退席してから、誠吾は山根から報告を聞く。
「何があった?悟が現れたか?」
「尾崎君が冴子さんに家から連れ出されたそうです。二人で外に出たと言うので、拉致された訳ではないようなのですが…」
冴子が遥を連れ出す?
冴子は遥を嫌っていたのに、何故二人で出掛ける必要があったのか。
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