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冴子は遥の手から携帯を取り上げると、はいと黒崎に手渡した。
黒崎は微笑みながら携帯をバキッと割ると、無造作に床に投げ捨てた。
「この携帯にはGPSが入ってますからね。すぐにここからも移動しないと……」
「早くしてよね。若様が来る前にこの子を始末して欲しいわ」
冴子は何を言っているんだろうか?
遥は状況が分からず混乱していた。
息が苦しい。
煙草臭いこの空間から早く出たい。
僕はここに居てはいけない。
また……また僕は、誠吾さんに迷惑をかけるようなことを……。
震える足に力を入れて、遥は立ち上がろうとした。
早く、ここから出ないと……。
だが、またしても気配なく後ろから現れた人物に両肩を押されてソファに再び座らされてしまった。
「お姫様、そんなに慌てないで座ってなよ」
「二階堂、悟…………どう、して…」
悟は楽しそうに笑いながら遥の隣に腰を下ろした。そのまま遥の肩を抱いて自分の方に引き寄せる。
「お姫様が死んでなくてよかったよ。あの時はマジで焦ったわ」
「どうして、あなたが、冴子さんの、お店に居るの………」
「うわぁ……。本当に喋り方、変になっちゃったんだ。まあそうだよねぇ……思いっきり舌を噛んでたんだもんねぇ……」
悟は遥の口に指を添えると、ぐいっと指を押し込んで無理矢理遥の舌を引っ張り出した。
「おー、傷が見えるじゃん。なんかエロいね。これで舐められたら気持ちよさそう」
「んーっ……」
遥が必死に抵抗しても力の差は歴然としており、悟はビクともしない。
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