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「嫌よ……死にたくない。こんなの……間違ってるわ……」
「冴子さんを、離してあげて、ください」
遥が悟を見上げて懇願すると、悟は心底驚いた顔を見せた。
この女に騙されて、俺に今捕まっているというのに……まさかこの女の命乞いをするとは……。
「ははは………お姫様は本当に面白いな。天然なのかバカなんだか」
悟は心底楽しそうに声を上げて笑う。
それを黒崎は無表情に見つめ、遥と冴子は怯えた目で見ていた。
「とりあえず黒崎、その女は薬で黙らせといて」
「やっ……やめてよ。嫌よ……!」
抵抗する冴子に構わず、黒崎は懐から出した注射器のケースを器用に片手で開けて、何の迷いもなく冴子の腕に針を突き刺した。
「冴子さん!……冴子さんに何を……」
「喧しいから薬で眠らせるだけ。遥ちゃんは自分の心配した方がいいんじゃない?」
悟が黒崎に目で合図すると、黒崎はぐったりした冴子を床に置いて、部屋の隅に置いてあった鞄を取りに行った。
黒崎が鞄を机の上に置くと、悟は中から様々な拘束具を取り出す。
「これね、SMショップで買ったんだ。色々種類があって、どれにするか迷ったんだよ」
「ちょ………やめ、やめてください…」
フンフンフンと鼻歌を歌いながら、悟は遥の両手を頭の上で縛り、口には口枷をつけた。
「これで今回は舌を噛んだり出来ないからね。本当はその可愛い口で俺のもしゃぶって欲しかったけど……まあ、仕方ないね」
「んー……うっ、んっ」
やめてと言いたいが、口枷のせいで言葉にならない。
唯一自由になるはずの足で、バタバタともがいてみても、その滑稽な動きが悟を楽しませるだけだった。
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