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帰宅すると、遥が風呂に入っている間に誠吾は青山を部屋に呼び出した。
遥は良いことしか言わなかったが、高校が実際のところどうだったのか聞いておきたかったのだ。
「えっとですね、同級生はオバサン、キャバ嬢、ホスト、引きこもりの女、後は……恐らく同業者が一名居ました」
「ヤクザか?どこの組の者だ?」
「そこまでは今日は分からなかったです。名前は山田士郎って名乗ってました。若かったのでまだ盃を貰っちゃいないのかもしれませんね」
青山もこの世界に10年は身を置いているのだ。恐らく青山の見立てに間違いないだろう。
「ヤクザか……。うちと協力関係にある組の者だといいがな……」
もし敵対する組の者なら…自分と遥の関係を知られたら、自分を潰すためにきっと遥を利用するに決まっている。
「よく注意してくれ。遥となるべく関わらせるな。担任とホストはどうだ?遥にちょっかい出しそうか?」
「ホストの野郎は姐さんのこと、可愛い可愛い言ってたので怪しいかと…」
やはりそうなるのか。
誠吾の胸のざわつきは激しくなった。
遥に誰一人ちょっかいを出して欲しくない。
「自分が全力でお守りします。姐さんには一生かかっても返せない程の恩がありますので」
力強く言う青山に、遥と一緒に高校に通わせるのが青山で良かったと誠吾は思った。
何の下心も無く、ただ遥を案じてくれる青山はとても頼りになる。
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