第10夜

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どんどん冷えていく心とは裏腹に、薬で強制的に快楽を引き出された体は、悟から受けている刺激を気持ちよいと認識してしまっている。それも遥を絶望させた。 自らの屹立からはだらだらと、はしたなく白い欲望を溢れさせている。 早く、早く終わって……。 遥はきつく目を閉じて、この暴力的な行為が止むのを祈った。 悟が遥の中に欲望を全て吐き出した時、店の外が急に騒がしくなってきた。 「来たな……誠吾」 誠吾が遥を探して、ここに来るのは悟の想定内だ。 しかし、冴子などというあんな胡散臭い女を家に招き入れて、大切なお姫様を奪われるなんて誠吾も間抜けだよなと、悟は鼻で笑う。 遥が自分の手元にあれば、誠吾は何もかも投げ捨てて遥を奪い返しに来るだろう。 お姫様と引き換えに、二階堂の親父を殺してもらって…二階堂をそっくりそのまま引き継ぐつもりだ。 ぐったりとソファに沈み込む遥から、悟はまだ硬さを保ったままの屹立をずるりと引き抜いた。 このお姫様は殺すには惜しい。 まさかここまで具合がいいとは……誠吾が手放せない訳だな。 兄貴も気に入っていたし、ペットとして俺の手元に置いておくのもいい。 悟は自分の衣服を整えると、遥を抱えて立ち上がった。 大事な人質が居るのだから、誠吾も自分に手を出せないと分かっているので、黒川組の追っ手が何人居ようとも焦りはない。 「おい黒崎!もう出るから車を裏に回しとけ」 悟はドアの外で見張りをしているはずの黒崎に声を掛けた。
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