第11夜

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「少し、落ち着きましたか?」 「はい…。シャワー、ありがとう、ございました」 バスルームから出てきた遥は、強く擦ったため皮膚が真っ赤になっており目も腫れていた。 山根はそのことには触れず、遥の前にホットミルクの入ったマグカップを置く。 「これを飲んで、今日はもう寝なさい」 「はい…………」 ホットミルクを一口飲めば、優しい甘さが身体の隅々まで染み渡るようだ。 ホッとした遥の目に、またじわりと涙が滲んだ。 「尾崎君……辛かったですね…」 「もう、誠吾さんのところに、帰れません……」 「そんなことを言わないで。君が居なくなったら…あの人死にますよ」 遥は両手で顔を覆って俯いた。 誠吾のところに帰りたい。 だが、自分は他の男を受け入れてしまった……どんな顔をして誠吾に会ったらいいのか。 「とりあえず体も辛いでしょうから、今日はもう休んで……。私はソファで寝ますから、何かあれば言ってください」 「ごめんなさい………」 泣き疲れて遥が眠るまで、山根はずっと傍に付き添った。 身も心もボロボロになった遥は、一回り小さく儚く見えて……このまま消えてしまうのではないかと不安になる。 前回襲われた時、この子はボス以外に体を許すくらいなら死のうとしたのですよね……。 悟に犯されたということが、遥にとってどれほど辛いことだったのか……。 せめて今夜は嫌なことを思い出さずに、ゆっくりと眠れるといいのだが…。 そう思いながら、山根は小さく丸まって眠る遥の頭をそっと撫でた。
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