第11夜

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誠吾の胸がぎゅっと締め付けられる。 遥は何も悪いことをしていないのに……。 毎日を真面目に生きていただけなのに…俺のせいで……。 どれほど後悔しても、あれが無かったことにはならない。 遥の為に俺が出来ることは何でもしよう。 また、あの笑顔を見られるように…。 「山根、遥はどうだ?」 『ちょっと今日は熱があって…お腹の具合も悪そうなので、付いていてあげたいのですが…』 「ああ。付いていてやってくれ。こっちは休んで構わないから……世話かけて悪いな」 山根からの電話を切って、誠吾は遥の元へ飛んでいきたい気持ちと、また拒絶されたらどうしようかという不安とで揺れていた。 でも、どうしても一目だけでも顔が見たい……。 居てもたってもいられず、気が付けば誠吾は山根のマンションまで車を走らせていた。 ふと誠吾はあることを思い出し、マンションの近くのコンビニに寄る。 買い物を済ませると、誠吾はその足で山根の部屋に向かった。 朝から熱っぽく、お腹の調子も悪い遥はベッドの上で休んでいる。 山根がお粥を作ったが、一口啜っただけでそれ以上は飲み込めそうになかった。 「山根さんも、仕事があるのに、すみません……」 「普段しっかり働いてますからね。たまには他の者にも頑張って働いていただかないと」 遥に気を遣わせないようにそう言っているのだと、遥も気付いている。 だが、今は山根の優しさに甘えてしまっていた。 一人で居たら……色々思い出して頭がおかしくなりそうだった。
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