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誠吾の胸がぎゅっと締め付けられる。
遥は何も悪いことをしていないのに……。
毎日を真面目に生きていただけなのに…俺のせいで……。
どれほど後悔しても、あれが無かったことにはならない。
遥の為に俺が出来ることは何でもしよう。
また、あの笑顔を見られるように…。
「山根、遥はどうだ?」
『ちょっと今日は熱があって…お腹の具合も悪そうなので、付いていてあげたいのですが…』
「ああ。付いていてやってくれ。こっちは休んで構わないから……世話かけて悪いな」
山根からの電話を切って、誠吾は遥の元へ飛んでいきたい気持ちと、また拒絶されたらどうしようかという不安とで揺れていた。
でも、どうしても一目だけでも顔が見たい……。
居てもたってもいられず、気が付けば誠吾は山根のマンションまで車を走らせていた。
ふと誠吾はあることを思い出し、マンションの近くのコンビニに寄る。
買い物を済ませると、誠吾はその足で山根の部屋に向かった。
朝から熱っぽく、お腹の調子も悪い遥はベッドの上で休んでいる。
山根がお粥を作ったが、一口啜っただけでそれ以上は飲み込めそうになかった。
「山根さんも、仕事があるのに、すみません……」
「普段しっかり働いてますからね。たまには他の者にも頑張って働いていただかないと」
遥に気を遣わせないようにそう言っているのだと、遥も気付いている。
だが、今は山根の優しさに甘えてしまっていた。
一人で居たら……色々思い出して頭がおかしくなりそうだった。
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