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「ああ。よろしく頼むな。遥は……無防備で危ないところがあるからな」
今日一日一緒に過ごしてみて、青山にもそれが分かっていた。素直で警戒心のない遥は、悪い人間にとっては格好の獲物だろう。
遥は悪い男に捕まって、一度大怪我をしているのだ。
二度とあんなことがあってはならない。
「お風呂気持ちよかったです」
風呂上がりの遥は、ほんのり肌を上気させて髪もまだ濡れたまま部屋に戻ってきた。
「また髪の毛を乾かして来なかったのか?」
「すぐ乾くからいいかなぁって……」
風邪をひきやすいくせに……誠吾は苦笑しながらタオルで遥の髪をガシガシ拭いた。
「わっ……。大丈夫ですよ。もう乾いてきました。乾いてきましたから」
「風邪引いたらどうするんだ。明日は検診の日だろ?」
誠吾の言葉に遥は大人しくなって黙ってされるがままになった。
以前の大怪我のせいで遥には片方の腎臓が無い。なので、定期的に体調に異常がないか検診を受けていた。
「元気だから行かなくてもいいと思うんですけど……」
「馬鹿。元気なのを確認しに行くんだろ。明日は俺も一緒に行くからな」
明日は検診に付き添えるよう、山根に仕事は調整してもらっている。
受験や入学で無理をした遥の体が心配だった。
「明日は検診だから、今夜は……しないからな」
「あ………はい」
遥は恥ずかしそうに俯いた。
昨夜入学式を控えていたので体は重ねなかったので、今夜はするのかなと思っていたのだ。
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