第11夜

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遥がウトウトしかけたとき、インターホンが鳴った。 「誰でしょうか……。ちょっと見てきますね」 玄関に様子を見に行った山根だが、すぐに部屋に戻って来た。 「尾崎君…。ボスが来ましたが、部屋に通しても大丈夫ですか?」 「誠吾さん……が?」 遥の瞳が不安そうに揺れる。 誠吾はどんな顔をして自分に会いに来たのだろうか。 言いつけを破って家から出て、悟に犯された自分のことを、どう思っているのだろう。 会いたい。 でも、会うのが怖い……。 「どうしますか?」 「今は、会いたく、ないです………」 震える声で遥が答えると、山根は「分かりました」と玄関に戻って行った。 少し開いているドアから、誠吾と山根の話し声が聞こえる。 何を話しているのかまでは聞こえなかったが、誠吾の声を聞くだけで涙が出そうになった。 誠吾さんに会いたい……。 会って、抱き締めて、遥のことが変わらず好きだと言って欲しい…。 でも、もしも誠吾さんの気持ちが離れてしまっていたら…。 優しい誠吾さんは僕を見捨てはしないだろう。 だが、同情だけで一緒に居て欲しいとは思えない。 確かめるのが怖い。 愛される喜びと、一緒に居られる幸せを知ってしまったから。 全てを失うかもしれないと思うと、怖くて堪らない。 僕は……臆病で狡い……。 会うのを先延ばしにして、現実逃避しているのだから……。
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