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ボスは強い男ですが……尾崎君のことになると普通ではありませんからね…。
ちゃんと仕事になっているか心配ではありますが……。
「僕は、大丈夫、ですから」
この子の大丈夫に、どれだけ皆が甘えてきたのだろうか。
今だって、絶対大丈夫ではないのに無理に笑って……こんなに痛々しいと言うのに。
「全然大丈夫な顔じゃありませんよ。私が休んでもボスには拓馬が居るし、親父さんだって他の者だって居ます。君を今、一人にはできません」
「山根さん…………」
山根の優しさが本当に嬉しい。
自分のことを、これ程親身になって考えてくれるのは本当に有難い。
だけど………。
僕はここに居たら駄目だ。
山根さんは、自分を犠牲にしても、いつまででも僕に付き合ってくれるだろう。
迷惑をかけたくない。
でも僕は……何処に行けばいいんだろう…。
いや、最初に戻るだけだ。
誠吾さんと初めて会ったあの日だって、居場所が無くなって……それでも何とかなったじゃないか。
優しい人達に囲まれて、ぬくぬくと甘えて暮らしてきたけれど……。
また、仕事を探して一人で生きていけばいいじゃないか…。
今までが幸せすぎたんだ…。
「僕、眠いので、これから少し、寝ます。その間に、誠吾さんの様子を、見てきて欲しい、です」
「ボスの様子ですか………」
「はい。誠吾さん、自分のせいだって、自分のことを、責めていると、思うんです。そうじゃないって、伝えて欲しい、です」
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