第11夜

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ボスは強い男ですが……尾崎君のことになると普通ではありませんからね…。 ちゃんと仕事になっているか心配ではありますが……。 「僕は、大丈夫、ですから」 この子の大丈夫に、どれだけ皆が甘えてきたのだろうか。 今だって、絶対大丈夫ではないのに無理に笑って……こんなに痛々しいと言うのに。 「全然大丈夫な顔じゃありませんよ。私が休んでもボスには拓馬が居るし、親父さんだって他の者だって居ます。君を今、一人にはできません」 「山根さん…………」 山根の優しさが本当に嬉しい。 自分のことを、これ程親身になって考えてくれるのは本当に有難い。 だけど………。 僕はここに居たら駄目だ。 山根さんは、自分を犠牲にしても、いつまででも僕に付き合ってくれるだろう。 迷惑をかけたくない。 でも僕は……何処に行けばいいんだろう…。 いや、最初に戻るだけだ。 誠吾さんと初めて会ったあの日だって、居場所が無くなって……それでも何とかなったじゃないか。 優しい人達に囲まれて、ぬくぬくと甘えて暮らしてきたけれど……。 また、仕事を探して一人で生きていけばいいじゃないか…。 今までが幸せすぎたんだ…。 「僕、眠いので、これから少し、寝ます。その間に、誠吾さんの様子を、見てきて欲しい、です」 「ボスの様子ですか………」 「はい。誠吾さん、自分のせいだって、自分のことを、責めていると、思うんです。そうじゃないって、伝えて欲しい、です」
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