第11夜

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龍二は頷くと、奥の突き当たりの部屋を指さした。 「あの部屋に夏樹が居ます。お出迎えに出たがってたんですが、今日はちょっと目眩がするらしくて…」 夏樹というのは誰なのだろう。 遥はよく分からないまま、曖昧に頷いた。 とにかく、夏樹という人が自分を待っているなら会ってみるしかない。 「では、お部屋にお邪魔して、みます」 「夏樹は貴方に会えるのを楽しみにしていたので……」 夏樹が誰なのか、どうしてここに呼ばれているのか、分からないことだらけだったが、遥は言われた通り廊下の突き当たりの部屋に向かった。 「あの……尾崎です」 襖の前で声をかけると、中から「どうぞお入り下さい」と声がする。 遥は言われるまま、襖を開けて室内に入った。 「君が尾崎君か。さ、どうぞこちらへ…」 部屋に置かれたソファに、遥とそれほど歳も変わらなそうな少年が座っていた。 綺麗に整った顔に、親しみを込めた笑顔を浮かべるこの人は誰だろう。 そう思いながら、遥は勧められたソファに自分も腰掛けた。 「今日は僕がお呼びしたのに、出迎えに出られなくてごめんなさい。朝から今日は目眩が少しして…。僕は緒川夏樹と言います」 「尾崎遥……です」 お呼びした……。 僕はこの夏樹と言う人に呼ばれたのか。 「龍二には会いましたよね?金髪のピアスジャラジャラつけた……」 「あ、はい。玄関のところで…」 「僕は龍二の恋人です。尾崎君と……立場は似たようなものかと思います」 にっこりと、夏樹は綺麗な笑顔で微笑んだ。
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