第11夜

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「あの、僕に、何のご用でしょうか」 「龍二から尾崎君に起こったことを聞きました。そうしたら、どうしても君に会いたくなって………」 僕に起こったことを聞いた? そういえば、誠吾さんが助けに来てくれた時に藤代組の人が居たような……。 「どうして、僕に、会おうと……」 「僕もね、薬を使ってレイプされたこと、あるから……。君の気持ちが……僕には分かるよ」 夏樹は静かにそう言うと、手を伸ばした。 膝の上でぎゅっと握られた遥の手にそっと触れると、優しく包み込む。 「この前捕まった二階堂悟が流通させた薬を使われて、僕は実の祖父に犯されたんだ。何度も薬を使われて……まだこうして後遺症で時々目眩がするんだよ」 「実の……おじいさんに?」 初対面の人物に、衝撃的な告白をされて遥は言葉を失った。 目の前の少年は、とてもそんな過酷な目に遭ったとは思えないほど穏やかな顔をしている。 「尾崎君が今まで遭った、色々なことを聞いて……他人事とは思えなくて。どうしても会ってみたくて龍二にお願いしたんだ」 夏樹は優しく微笑むと、重ねた遥の手をぎゅっと握った。 「僕と君は、細かい状況は違うけど似てると思うんだ。だから……僕と友達になってもらえないかと思って………」 「友達……ですか?」 「うん。恥ずかしいんだけど、僕、友達が全然いないんだ。龍二と付き合ってるのバレてるから、学校でも怖がられてるし……」
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