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「そんな寂しそうな顔するなよ。問題なければ明日はしような。俺も本当は遥のこと早く抱きたいんだ…」
誠吾は遥の髪を乾かす手を止めて、遥の顎をすくってちゅっと唇にキスを落とした。
軽く唇を合わせるだけのキスでも遥はとろんと蕩けた表情を見せる。
こんな可愛い顔は誰にも見せたくない。
この表情は俺だけのものだ。
同級生に遥に気のありそうな男が居たという。
誠吾の中の強い独占欲が頭をもたげ、気付けば誠吾は遥の首筋を強く吸っていた。
「あっ……」
じゅっと音を立てて吸い上げて唇を離すと、そこには紅い痣が残る。
遥が誠吾のものであるという証は、白い肌に色濃く浮かび上がっていた。
「誠吾さん……。これ、みんなに見えちゃいますよ…」
「見えるように付けたんだよ。遥には手を出すなって牽制するためにな」
そんなに心配しなくても大丈夫だと思うのに……。
遥はそう思ったが口には出さなかった。
自分が何度も攫われて、誠吾が未だに心配しているのが分かっていたからだ。
仕事柄敵の多いからこそ、心配なのだろう。
跡を付けることで誠吾が満足できるなら、それでもいいかと遥は思った。
キスマークを付けて学校に行くのは恥ずかしいが……。いや、病院に行くのも普段の生活をするのも恥ずかしいけれど…。
誠吾に愛されている証なので、それはそれで嬉しい気もしていた。
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