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「僕なんかで、いいんですか?」
「うん。お互い、色々大変だったじゃない?だから共感できることが多いかなって。あと、若頭と付き合ってるってところも同じだし………」
ふふっと夏樹が笑うと、遥もつられて笑ってしまった。
確かに、歳が近くて同性で若頭と付き合っていて…そんな人間に出会えるなんて奇跡に近いかもしれない。
「最近レイプされたばかりなのでしょう?体は大丈夫?」
「体は、大丈夫です。ただ、恋人の、誠吾さんにどんな顔をして、会ったらいいのか、わからなくて………」
夏樹の柔らかい雰囲気に、遥はつい悩みを打ち明けた。
「汚されてしまって、嫌われたら、怖いなって、思ったら………」
「そうか……そうだよね。僕なんかレイプされまくりだったからさ。まさか龍二に愛してもらえるなんて思わなかったよ」
「されまくりって……。どうやって、乗り越えたんです、か?」
うーん…と唸ると、夏樹は暫く考え込んでいた。
「龍二の愛を信じられたから、かな。僕がどんなにボロボロになっても、ずっとそばに居てくれて…。ああ、僕は僕のままでいいんだなって思えたんだ」
「僕の、ままで……」
遥は無意識に腰に残る傷跡を撫でていた。
この傷が残った時……あの時も、傷モノの自分は愛して貰えないのではないかと不安に思った。
そうだった。
誠吾さんはそんなことを気にするような人じゃなかった…。
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