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「では、あらためて……。僕と友達になってくれますか?」
「はい。喜んで……」
顔を見合わせてふふふと笑う。
まるで、昔からの友達のように、夏樹と居るのは心地良かった。
「ああ良かった。じゃあさ、遥って呼んでもいい?」
「はい。僕も、夏樹って、呼びますね」
「敬語もなし!僕の方がちょっと年下なんだし、タメ口で喋ってね」
その後遥と夏樹は、お互いの境遇から学校
の話まで、沢山話した。
ヤクザの世界とは無縁に育って、急に一緒に暮らすようになった時の戸惑いなど、共感できる部分が多く話は尽きなかった。
この二日間、ショックで落ち込んでいた遥だったが、夏樹と話していくうちにどんどん前向きな気持ちになっていく。
不思議だな……。
この家に来た時は、こんなに晴れ晴れとした気持ちになれるなんて思っていなかった。
「今度、遥の彼にも会わせてね。今日目眩がしていなかったら、客間に顔を見に行くんだけどなぁ…」
「あ……。目眩、大丈夫?話し込んで、しまったけど…疲れたんじゃない?」
「頭をね、動かさなければ大丈夫。でも、楽しくてはしゃいじゃったから、少しだけ疲れたかな…」
朝、ここに来たはずなのにもう昼を過ぎている。思ったよりも時間の流れが早くて、遥は驚いた。
「もう、帰るから、夏樹は休んでね」
「遥…また、会ってくれる?僕、すごく楽しかった。また遥と話したい」
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