第12夜

2/11
前へ
/232ページ
次へ
「もしかして、俺に嫌われたと思って俺のことを避けてたのか?」 「だって……。僕は、誠吾さんだけの、ものだったのに……」 泣いたら駄目だ。 泣かずにちゃんと話をしないと。 「悟としたのはセックスじゃねぇだろ?あれはレイプだ。遥の心までアイツは奪ってない……だろ?」 「勿論です。気持ち悪くて、すごく、痛くて、嫌でした……」 泣くまいと決めていたのに、遥の大きな瞳から涙が零れた。 誠吾は黙って遥を引き寄せると、遥の頭を優しく撫でる。 「俺は……俺と付き合ったせいで、遥が何度も酷い目に遭って……。遥に申し訳なくて、正面から遥に向き合うのが怖かった…」 「こわい……?」 「愛想を尽かされて、捨てられるんじゃねぇかって……」 今度は遥が驚く番だった。 何度も悟に捕まる情けない自分に、愛想を尽かされると思っていたからだ。 誠吾さんも、僕も、お互いを失いたくなくて……逃げていたんだ。 ちゃんと話すのが怖くて。 もし、相手に嫌われたら……悲しすぎるから。 「誠吾さん、僕は……誠吾さんの、ことが好き。大好きです」 「ああ。遥、俺もだ。誰にも渡したくないし、何処にも行かせたくない」 「僕、汚されてしまったけど、愛して、もらえますか……?」 「馬鹿だな……遥は綺麗なままだろうが」 誠吾は両手で遥の頬を包むと、顔を近づけて優しいキスをした。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2799人が本棚に入れています
本棚に追加