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第13夜
遥が黒川邸に戻って、黒川組にはいつもの日常が戻ってきた。
少し変わったのは、組の人数が増えたので東が山根のマンションに移ったことだった。
「私は家から出ますが、ちょくちょく悠人と姐さんに会いに来ますから……」
寂しがる遥にそう言って、東は長年住み慣れた黒川邸を出て行った。
東には旧二階堂組のシマを纏めるという任務が与えられ、忙しそうに毎日を過ごしている。
東が居なくなったことにより、山根に会える回数も減ってしまい遥としては寂しい限りだ。
誠吾も新しくなった組織を纏めるのに毎日夜遅くまで働いている。
「遥、なんだか疲れてない?」
「そう、かな?」
二階堂組のシマの一部は、協力関係にある藤代組に譲られることになり、今日は打ち合わせのため組長と龍二が黒川邸を訪れていた。
最近寂しそうな遥の為に、誠吾は夏樹も連れてきてもらうように藤代組に頼んだので、遥は久しぶりに夏樹に再会できている。
「新しい人が増えたり、少し環境が、変わったからかな」
「ああ……そうだよね。藤代にも新しい組員が増えて…僕も頭悪いからさ、名前がなかなか覚えられなくて苦労してるよ」
夏樹はそう言うと、ふふっと笑った。
屈託なく笑う夏樹に、ここ最近緊張していた遥も表情が緩む。
「姐さん、って呼んでもらうからには、ちゃんとしなきゃって、思って……」
「遥はここでは姐さんて呼ばれてるんだね。僕なんてお嬢って呼ばれてるよ」
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