第13夜

2/7
前へ
/232ページ
次へ
「僕達、二人とも男なのに、姐さんにお嬢………」 お互いおかしくてぷっと吹き出す。 色々普通ではない。 それでも、それが遥や夏樹にとっては当たり前の日常だ。 「遥はあれから誠吾さんとは仲良くやってるの?仲直りのエッチはした?」 「…………はい。あの日の、帰りに……」 赤くなって俯きながら正直に話す遥の背中を、夏樹はポンポンと叩いた。 「そっかぁ。良かった。気になってたんだけどメールで聞くのもどうかなと思ってさ」 「ご心配、おかけしました」 誠吾に素直な気持ちをぶつけられたのも、夏樹が居てくれたからだ。 夏樹には何もかも話せて気が楽だった。 「藤代と黒川はさ、薬を絶対に扱わないって決めてるじゃない?どんどん勢力を伸ばしていってもらって、薬がもう世に出回らないようにしてほしいなぁ」 「そう、だよね。誠吾さん達に、頑張ってもらわないとね」 薬の後遺症に今も時々苦しんでいる夏樹の思いは切実で、遥も二階堂悟のような人間がもう出てこないことを祈っている。 「黒川と藤代が喧嘩しないように、僕達は仲良くしていようね」 「そうだね。夏樹と、話すの、楽しいし」 遥が微笑むと、夏樹は驚いた顔をして首を振った。 「夏樹、どうしたの?」 「遥さぁ、本当によく今まで無事だったよね。そんな可愛かったら悪い男に散々弄ばれそうなものなのに…」
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2799人が本棚に入れています
本棚に追加