第13夜

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「はい。夏樹とは、話しやすいので」 「そうか。いい友達ができて良かったな」 夏樹なら遥と二人きりにしても安心だ。 お互いに境遇の似たところがあり、打ち解けやすいのだろう。 夏樹と話した後の遥は、楽しそうなので誠吾も嬉しかった。 「夏樹、僕のことを、可愛いって言うんです。夏樹の方が、可愛いし、綺麗なのに…」 「いや、遥の方が可愛いって俺は思うぞ」 「誠吾さん、だけです。僕を可愛いって、思うのなんて」 くすくす笑う遥は、本当に自分のことが可愛いとは理解していない様子だ。 そこもまた可愛いのだが……。 他の男の前でそんなに可愛く笑われたら、不安で堪らない。 「遥、頼むからもう少し気をつけてくれ…」 「それ、夏樹にも、言われました。他の男に、体とか、触らせるなって」 夏樹……可愛い顔してるが、遥よりだいぶしっかりしてるんだな。 遥は苦労して育った割に、素直で人を疑うことを知らないから本当に心配だ。 「お嬢の言う通りだぞ?俺以外に触らせるなよな。あと、可愛い顔で笑いかけるのも駄目だからな」 「はい。気をつけますね」 にこにこと返事をする顔が既に可愛すぎるのだが……本当に大丈夫だろうか。 黒川の中では俺のものだと分かっているので、誰も手を出さないかもしれないが…。 「学校では……変な奴いないか?」 「うーん……。あ、前に一度だけ、先輩に絡まれました」 「はぁ?!聞いてないぞそれ」 「山田さんが、助けてくれたので。特に何もなかったから、忘れてました」 すみませんと謝る遥を見て、誠吾は頭を抱えてしまった。 臨時講師を辞めた今、もう自分が学校に行くことはできない。青山と山田がついているとしても心配は尽きなかった。
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