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以前入院していた病院の外来で、検査を終えた遥は誠吾と診察に呼ばれるのを待っていた。
「検査、辛くなかったか?」
「今日の看護師さんは採血上手でした」
遥は全然痛くなかったと嬉しそうに話す。
今日はついてます、そう喜ぶ遥の頭を誠吾は優しく撫でた。
いつでも遥は明るくポジティブで、この明るさに皆が救われているのだ。
「尾崎さん、診察室にどうぞ」
診察には誠吾も付き添った。
検査結果をプリントアウトしたものを見ながら医師が説明を始める。
「尾崎さん、少し腎機能の数値がよくありませんね。疲れているんじゃないですか?」
「いえ…。特には変わりはないですけど…」
やはり受験勉強もあったし、昼間は普通に働いて夜間で高校に通うことが負担になっていたのだ。
「まあ、少しなので無理をしなければ改善するとは思います」
「あの、僕、定時制高校に通い始めたんですけど……体育の授業は受けても大丈夫ですか?」
「駄目ですよ。激しい運動は控えてくださいね」
「はい」と返事をした遥だったが、内心はガッカリしていた。久しぶりに体育とかやってみたかったのだ。
「あと、性生活はしても構いませんが体に負担のない程度に…」
遥の首の痣をチラリと見た医師は淡々と話したが、それを聞いた遥は真っ赤になってしまった。
誠吾さんが目立つところに跡を付けるから…。跡を付けた当の誠吾は真面目な顔で医師の話を聞いている。
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