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診察室を出ても遥の顔はまだ真っ赤だった。
「遥?具合悪いのか?」
「誠吾さんのせいです。見えるところに跡を付けたから、先生に性生活の指示までされちゃいました……」
俯きながら小声で話す遥に、なるほどと誠吾は思った。
マーキングとしては完璧なのだが、こんなに恥ずかしがるのでは少し可哀想だったかなと思う。
「ごめんな。遥のこと独り占めしたくて、つい見えるとこに付けちまった」
「こんなの付けなくても、僕は誠吾さんだけのものなのに………」
遥の言葉に今度は誠吾の顔が赤くなった。
こんな可愛いことを言われて、今すぐここで抱き締めたかった。
病院の中で抱き締めたりしたら駄目だよな。
早く夜にならねえかな……。
「遥、学校までまだ時間あるな。どこかでお茶でも飲むか?」
「本当ですか?嬉しいです」
先程まで拗ねていたのに誠吾からの誘いで遥の機嫌は一気に良くなった。
ここのところ遥も誠吾も忙しくて、外でデートなどできていなかったので少しでも一緒に居られるのが嬉しかったのだ。
「どこに行きましょうか……。僕は誠吾さんと一緒ならどこでもいいんですけど……」
「あんまり可愛いこと言うなよ。そうだな……学校の近くにカフェがあったから、そこにするか」
遥はにこにこしながら頷いた。
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