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「少し腎臓の数値が悪くてな。無理をさせないように遥のことを見張っててくれ」
本当にたいしたことないのに……と、遥は恨めしそうな顔で誠吾を見上げた。
「分かりました。遥さん、少しでも体調が悪かったらすぐ俺に言ってくださいね」
「はい。じゃあ誠吾さん、行ってきますね」
遥は誠吾にひらひらと手を振って、校舎の方に向かって行った。青山が一礼してからその後に続く。
今日は検査の結果も思わしくなかったし、遥の様子も少しおかしかった。
青山がついているとはいえ心配だ。帰りはまた迎えに来るかな……誠吾はそう思いながら一度家に戻ることにした。
「あ!遥ちゃん!やっほー」
教室に入るとすぐに真凜が遥の傍にやって来た。昨日は化粧をバッチリしていたが、今日は殆どスッピンで昨日より幼く見える。
「真凜さんこんばんは。今日はお仕事お休みなんですか?」
「そうなの。久しぶりのオフだったからいっぱい寝ちゃった」
遥と真凜が話していると、山田が無言で入って来た。
「山田さん、こんばんは」
遥が声を掛けても、山田はじろりと睨むだけで返事をせず昨日と同じ教室の端の席に着いた。
「何アイツ。感じわるーい。やなやつ」
真凜は口を尖らせて怒っているが、遥には山田が悪い人間には思えなかった。
入口のところで真凜と話していたのできっと邪魔だっただろうに、ぶつからないよう気を使って通って行ったからだ。
山田さんとも早く仲良くなれたらいいな。
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