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座学の授業は普通に受けて、体育の時間になると遥は皆と一緒に体育館に移動した。
体育館には二年生も来ており、体育は二学年合同で行われるようだ。
担任の池田が体育の担当で、ラジオ体操をした後は卓球台を出して数名のグループに別れて適当に打ち合う感じで……とにかく緩い。
もっと一生懸命運動するのかと思ったけど…これなら僕にもできそうだな。
チラリと青山を見ると、駄目ですよとばかりに首を横に振っている。
遥は諦めて体育館の隅に腰をおろして皆が卓球をするのを眺めていた。
「君は見学なの?」
突然かけられた声に遥が顔を上げると、見知らぬ生徒がにこにこしながら立っていた。
おそらく二年生の生徒だろう。
「一年に凄い可愛い子が入ったって聞いたけど、本当に可愛いや」
何と答えたらいいか迷っていると、その生徒は遥の隣に腰をおろした。
「君、名前は?俺は齋藤。齋藤涼」
「尾崎遥です…」
隣に座るのはいいのだが、やたら距離が近い。ヒカルなども距離が近いのだが、こんなに嫌な感じはしない。
遥は少しだけ距離を取ろうと座る位置をずらした。
遥が座る位置をずらすと、齋藤もずれて遥にぴったりくっついて来る。
「あ、あの……ちょっと、近い、です」
「近くで見ても本当に可愛いなぁ。こんなキスマークとか付けちゃって……えっろ」
齋藤はニヤニヤしながら指で遥の首筋をつうっと撫でた。
ぞわぞわと遥の肌が粟立つ。
「やめて……やめてください」
遥が齋藤の手を掴んで自分から引き剥がそうとしても、その手はビクともしない。
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