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「アイツがまたちょっかい出してくるかもしれないから……とりあえず、あの強そうな従兄弟にいつもくっついとけ」
「あ……はい。そうしますね」
遥が笑顔で返事をすると、山田は思わず息を飲んだ。その笑顔があまりにも素直で可愛かったからだ。
「本当に……気をつけろよ」
「ありがとうございます」
山田は遥から離れると、そのまま青山の方に歩いて行った。
「おい。お前アイツの従兄弟だよな?」
「アイツって……遥のことをアイツ呼ばわりするな」
不機嫌そうに青山が答えても山田は動じる気配がない。
「アイツ、さっき二年の奴に絡まれてたぞ。あんまり目を離さない方がいい」
「は?何だって?!」
山田は青山に返事をせずそのまま行ってしまった。
青山は慌てて遥の傍に駆け寄る。
「遥さん、二年のやつに絡まれたって……」
「山田さんに聞いたんですか?そんなにたいしたことではなかったんですけど……」
遥はばつの悪そうな顔をした。
心配をかけるのが嫌だったので黙っていようと思っていたのだ。
「すみません……。俺がちゃんと見てなかったせいで………」
「青山さんはちゃんと授業を受けていたのだから悪くないです。それに、絡まれたと言っても少し触られただけなので…」
姐さんに触れただと?
黒川組の若頭があんなに大切にしている姐さんに…………。
そんな不届き者は、ちょっとシメてやらないと……。
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