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しかし今日はこのキスマークのせいで散々な目に遭ったなと、誠吾のことを少し恨めしく思う。
僕が絡まれないようにって付けてくれたけど、これのせいで今日は絡まれてばかりだ。
今度からは絶対に見えるところには付けないでって言わなくちゃ。
「それじゃあ今日はここまで。また来週な~」
授業を終えると、瞳が遥の席にやって来た。
「島村さん?どうしましたか?」
「あ、あの……。尾崎君の連絡先を……教えては貰えませんか?」
赤くなりながらそう言うと、瞳はおずおずと自分のスマホを差し出した。
「はい。喜んで」
遥も自分の携帯を出したが、連絡先の交換のやり方が分からない。
そもそも遥の携帯には、誠吾と青山と中学の同級生だった達哉の連絡先しか入っていないのだが、どれも本人達が登録してくれたので遥にはやり方が分からなかった。
「涼太さん、これ、連絡先入れるのどうしたらいいですか?」
遥が自分の携帯を青山に渡すと、青山が手際よく瞳と連絡先を交換してくれた。
「これで繋がりましたよ」
「ありがとう、ございます」
小さな声で瞳が青山に礼を言う。
「尾崎君、週末とか連絡してもいいですか?」
「はい。ただ、僕あまり携帯を持ち歩かないので、お返事は遅くなるかもしれないです」
携帯を持たない生活が長かったので、遥は未だに携帯の存在自体を忘れてしまうことが多かった。
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