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「さて、そろそろ帰りましょうか」
遥は青山に声をかけると、瞳には挨拶をして手を振ってから教室を出た。
「あの、島村って姉ちゃん、遥さんに惚れてますね」
「それは無いですよ。自慢じゃないですけど、僕今まで一度も女の子にモテたことないです」
話しながら昇降口に来ると、今日も下駄箱のところで山田と一緒になった。
「山田さん、今日は助けてくれてありがとうございました」
「…………ああ」
山田は短く返事をするとさっさと玄関から出て行ってしまった。それでも昨日と比べれば返事をするだけ大進歩だ。
「良い奴かと思いましたけど、やっぱり感じ悪いっすね」
「そんなに感じ悪くないと思いますけど…。あ、誠吾さん!」
校門のところに誠吾が見えると、遥は急いで誠吾に駆け寄った。
「今日も迎えに来てくれたのですか?」
「ああ。体調は大丈夫だったか?」
全然問題ありませんと遥は誠吾を見上げて笑った。
やっぱり遥は誠吾に向ける笑顔が一番幸せそうだなと青山は思う。
「体育はちゃんと見学しましたよ」
遥がそう言うと、誠吾は偉いなと遥の頭を撫でた。
「他に変わったことは無かったか?」
「何もないですよ。あ、同級生の島村さんと連絡先を交換しました。今度ゲーセンでゲームを教えてくれるそうです」
同級生とゲーセンだと?
誠吾の表情がみるみる険しくなっていく。
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