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「島村って……どんな奴だ?」
「え?僕と同い年の女の子ですよ。ゲームが得意なんです」
なんだ……女か。
女の友達ができたんだな。
女の友達なら遥に何かしたりしないだろう。
自分の知らないところで遥の交友関係が広がっていくのは心配だったが、今の遥はとても楽しそうだ。
父親のせいでまともな青春を送ってこなかったので、学校で勉強したり友達と過ごすのが本当に楽しいのだろう。
「青山、遥に付いててもらって済まねぇな」
「いえ………」
青山は誠吾に、今日遥が絡まれたことを黙っているのは心苦しかった。そのせいで歯切れの良い返事ができない。
指一本でも、姐さんが誰かに触られたなんて若頭はきっと嫌だろうな……。
「さ、誠吾さん涼太さん、帰りましょう」
当の遥は、誠吾の顔を見たら体育の時間に齋藤に絡まれたことなどすっかり忘れてしまっていた。
忘れているので、青山が黙っていることに罪悪感を覚えているなど気付く訳もなく……。
涼太さん、何だか元気がないななどと呑気に思っていた。
黒川の家に着いて、遥が風呂に入っている間に誠吾は青山から今日の学校の様子を聞いた。
「島村って女は遥に害はなさそうなんだな?」
「そうですね。姐さんに懐いてますから特に問題ないかと……」
青山の報告に誠吾は満足して頷く。
ゲームセンターは、実は誠吾も行ったことがなく……。自分も遊び方が分からないので遥を連れて行ってやることはできない。
島村という女と遊びに行きたいと言うなら行かせてやるか…。
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