第1夜

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これからの時代、ヤクザも学歴がないとダメだという正蔵のおかげで誠吾は大卒の学歴がある。 遥が高校を目指すとなった時に、誠吾は自分も同じ高校に入学して一緒に通おうと思っていた。 高校の普通科を卒業して大卒の自分が定時制高校の普通科には入れないと知ったのはその後のことだ。 遥を一人で高校に通わせるなど……。 どんな輩が通っているのか分からないのに。 あんなに可愛い遥だ。 同級生に食われてしまうのではないか。 楽しそうに受験勉強をする遥に、今更行くなとは言えない。 「若頭?どうかなさいましたか?」 物思いに沈む誠吾を心配した東が声をかけてきた。 「東……お前は高卒だったよな?」 「いえ。私は一応大学まで出ておりますが…」 やはり学歴があったか。 山根も大学出ていたし、そもそも親父の方針で中卒の奴がうちの組には居ないのかもしれない。 「なあ、うちの組で中卒の奴っていたか?」 「中卒ですか?大抵親父さんが高校卒業してから門を叩けって追い返していますからね…」 だよなぁと誠吾は深い溜め息をついた。 自分の学歴を詐称するのが一番いいのかもしれない。もうそれしかないのかと思っていた。 「中卒だと何かあるんですか?俺、中学しか出てませんけど………」 誠吾と東のやり取りを聞いていたのだろう。 突然青山が会話に入って来た。
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