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トイレで中のものを掻き出して、下着を交換してから部屋に戻ってくると誠吾はまだ眠っていた。
起こさないように着替えをして、遥は台所に向かった。
いつものように朝食の支度をしていると、続々と組員達が起床して台所の手伝いに来てくれた。
マツも起きてきて、配膳を手伝ってくれる。
「遥ちゃん、疲れた顔してるね。昨夜は坊ちゃんに激しくされたのかい?」
「え、いえ……そんな、ことは…」
頬を赤らめて否定する遥を、マツは微笑ましい気持ちで見ていた。
大事な誠吾と遥が仲良くしてくれていることがマツにとっては嬉しいのだ。
「尾崎君、おはようございます」
「あ、山根さん。昨夜はこちらにお泊まりだったのですね」
東と共に台所に現れた山根は、遥の顔を見ると心配そうな表情を浮かべた。
「尾崎君、具合悪いんじゃないですか?」
そういえば、何だか先程からお腹が痛い気がする。掻き出したけど残っていたのかもしれないな……。
「少しお腹が痛いので…。ちょっとトイレに行ってきますね」
遥がトイレに向かったところで、誠吾が起きてきて台所に顔を出した。
「あれ?遥は?」
「お腹痛いって言ってトイレに行きましたよ。ボス、まさかとは思いますけど…」
誠吾の目が泳いでいるのを見て山根の目がつり上がった。
全くこの人はいい大人のくせに学習能力のない……。
「ちょっと説教するんでこっちに来てください」
「あ、待て!山根……山根!」
山根に腕を掴まれて連行される誠吾を、東は気の毒そうな顔で見送った。こってり叱られるに違いない。
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