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「何だ?赤くなって…」
「せ、誠吾さんの所為ですよ」
遥は赤くなった顔を隠すように食器を持って立ち上がった。
「皿なら俺が下げてくるぞ」
「もう大丈夫なので、自分で下げてきます」
これ以上誠吾と一緒に居たらドキドキしすぎて逆に具合が悪くなりそうだった。
誠吾にとって自分が嫁なのだと、誠吾の口からハッキリと聞かされて嬉しくて舞い上がってしまう。
誠吾に対する好きの気持ちがどんどん大きくなって、自分でもどうしていいか分からない。
誠吾さんは僕に何かあれば生きていけないと言うけれど、僕も同じだ。
誠吾さんの居ない人生なんてもう考えられない………。
翌日はすっかり体調も良くなった遥は、朝から普段通りに仕事をこなしていた。
朝食の片付けをしていた時、誠吾が台所に顔を出す。
「誠吾さん、どうしました?お茶でも淹れましょうか?」
「いや、体は大丈夫か?」
「はい。昨日休ませていただいたので」
「良かった…。これ、さっきからずっと鳴ってるぞ」
「ほら」と携帯を渡されて、そういえば昨日も一度も携帯を見なかったなと遥はディスプレイを確認した。
瞳から何回か着信があったようだ。
週末に連絡すると言っていたことを思い出して、遥は瞳の携帯に電話を掛けた。
「もしもし。島村さん、電話いただいていたのに出られなくてすみませんでした。ちょっと昨日は体調が悪くて寝込んでました」
『え……大丈夫ですか?ごめんなさい。そんな時に連絡したりして……』
「今日はもう大丈夫なので。どうしましたか?」
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