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『いえ、あの、週末にゲーセンにお誘いしようと思っただけです。体調が優れないならまた今度お誘いします』
「すみません。ぜひまた今度誘ってくださいね」
遥が電話をするのを誠吾はじっと見ていた。
同級生と話す遥は、年齢相応に幼く見える。
電話を切った遥は、誠吾が見ているのに気付いてふわっと笑った。
「同級生の島村さんでした。ゲームセンターに今度また誘ってくれるそうです」
「そうか、良かったな。だが、ゲーセンには悪い奴も多いからな。必ず青山も誘えよ?」
「はい。分かりました」
本当は自分がついて行きたいところだが……せっかくの遥の学生生活を邪魔する訳にはいかないだろう。誠吾はそう思いながら遥から携帯を受け取った。
「明日の朝ご飯の下ごしらえもしちゃいますので、先に部屋に戻っていてもらえますか?」
「手伝おうか?」
誠吾の申し出を遥は申し訳なさそうに断った。以前手伝ってもらった時に台所が大変なことになってしまったのだ。
誠吾は仕事が出来て喧嘩も強いが、家事には全く向いていない。
「ボス、少しいいですか?」
部屋に戻るため廊下を歩いていた誠吾を山根が呼び止めた。
「おう、どうした?」
「山崎から連絡が入りました。うちにちょっかい出しているのは羽鳥のようですね」
羽鳥といえば……。
二階堂組から大量に組員が移った組ではないか。移った組員は悟派の奴らだと聞いているが………。
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