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「なんで俺の年齢なんか知りたいんだよ」
「山田さんとあまりお話していないので、もっと山田さんのこと、知りたいなって」
遥に悪気はない。純粋に山田と友達になろうと思っているようだ。
それが山田の警戒心を緩めた。
「……………18歳」
「本当に?僕と島村さんと同い歳ですね」
嬉しそうに話す遥から、山田はフイっと目を逸らした。
誰かにこんなに構われることがなかったので、どう対応したらよいのか分からないのだ。
「お前、変なやつだ」
「そうですか?ごめんなさい…急に年齢なんて聞いて不愉快でしたか?」
「いや…。俺なんかに話しかけてきて、変だ」
母子家庭で育った山田は、ホステスをしていた母親が取っかえ引っ変え男を家に連れ込むため、荒んだ生活を送ってきた。
学校などまともに通ったことも無く、喧嘩に明け暮れた山田に友人と呼べるものは居ない。
今回あることが原因で、高校に通うことになったものの同級生と馴れ合うつもりはなかった。
それなのに、この尾崎という人懐こい同級生はやたらと自分に声を掛けてくる。
コイツと話していると調子が狂う……。
教室の向こうから、尾崎の従兄弟である青山が黙ってこちらを見ていた。
時々、あの青山からは一般人とは思えない殺気を感じる時がある。頬に残る大きな傷跡からも、青山は裏社会に生きる人間なのではないかと山田は感じていた。
裏社会の人間と、この呑気な尾崎は本当に従兄弟同士なのか?
自分がこの高校に入学したのは………。
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