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山田が考え込んでいると、遥はひらひらと山田の顔の前で手を振った。
「山田さん、ぼーっとして…大丈夫ですか?」
「あ……ああ。なんでもねぇ……」
遥はそのまま、今日の授業についてや宿題の話などを楽しそうに山田に話し始めた。
遥のペースに巻き込まれて、山田もぽつぽつと返事をする。
「あら!山田君が遥ちゃんと喋ってる。さすが遥ちゃんねぇ」
柴田がにこにこしながら青山を見上げて話すと、青山は曖昧に笑って頷いた。
山田のことが気になって素性を調べたが、どこの組にも所属してはいなかった。
いわゆる半グレのグループには所属しているようだったが、積極的に活動している様子もない。
遥を助けてくれたこともあるので、警戒しなくても良いのかもしれないが……。
ただ、寝てばかりで勉強する気もなさそうなのに毎日真面目に学校に通っているのが気になる。
何を考えているのか分からず、青山の警戒心が緩むことはなかった。
「お疲れ様です!」
「お迎えありがとうございます」
今日の迎えは荒井だった。
いつもの大衆車ではなく、黒塗りの外車が校門前に横付けされており凄く目立つ。
「荒井さん、今日は車どうしたんすか?」
青山の質問に荒井は少し固い表情で「ちょっと車が出払ってまして、今日はこの車しか空いてませんでした」と答えた。
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