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朝食の支度を整えると、遥は誠吾を起こしに部屋に向かった。
そっとドアを開けると、誠吾は既に起きて着替えをしているところだった。
「おはようございます」
「ああ、おはよう……遥、真っ青だぞ?」
誠吾は遥の傍に行くと額に手を当ててみた。
熱は無いようだが……。
「少し……怖くなってしまって、昨夜あまり眠れなかったんです」
「ああ……そうか。そうだよな」
悟の名前を出さなくても、狙われるかもしれないなどと聞いたら不安になるのも当然だ。
「大丈夫だ。俺も親父もあれこれ手は打ってるから。うちのシマではどんな奴にも悪さはさせねぇよ」
「はい……。すみません。僕なんか、表に立って何もしてないくせに怖がったりして…」
誠吾は遥の頭を優しく撫でる。
遥は以前大変な目に遭ったのだ。怖がって当たり前だ。
「俺なんかと付き合ってるばかりに、怖い思いをさせてごめんな」
「そういうお仕事だって分かってますから。学校………辞めた方がいいですか?」
学校は本当は辞めて欲しい。
退学じゃなくても、せめて休学でもいい。
悟の脅威が無くなるまで、それだけでいいのだ。
だが、あんなに楽しそうに学校に通う遥から、学校まで取り上げていいのか。
聞き分けの良い遥は、自分がやめろと言えば学校を諦めてくれるだろう。
でもそれは俺の都合だ。
自分の都合で遥を振り回していたら、遥のクソ親父と同じではないか。
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