第3夜

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朝食の支度を整えると、遥は誠吾を起こしに部屋に向かった。 そっとドアを開けると、誠吾は既に起きて着替えをしているところだった。 「おはようございます」 「ああ、おはよう……遥、真っ青だぞ?」 誠吾は遥の傍に行くと額に手を当ててみた。 熱は無いようだが……。 「少し……怖くなってしまって、昨夜あまり眠れなかったんです」 「ああ……そうか。そうだよな」 悟の名前を出さなくても、狙われるかもしれないなどと聞いたら不安になるのも当然だ。 「大丈夫だ。俺も親父もあれこれ手は打ってるから。うちのシマではどんな奴にも悪さはさせねぇよ」 「はい……。すみません。僕なんか、表に立って何もしてないくせに怖がったりして…」 誠吾は遥の頭を優しく撫でる。 遥は以前大変な目に遭ったのだ。怖がって当たり前だ。 「俺なんかと付き合ってるばかりに、怖い思いをさせてごめんな」 「そういうお仕事だって分かってますから。学校………辞めた方がいいですか?」 学校は本当は辞めて欲しい。 退学じゃなくても、せめて休学でもいい。 悟の脅威が無くなるまで、それだけでいいのだ。 だが、あんなに楽しそうに学校に通う遥から、学校まで取り上げていいのか。 聞き分けの良い遥は、自分がやめろと言えば学校を諦めてくれるだろう。 でもそれは俺の都合だ。 自分の都合で遥を振り回していたら、遥のクソ親父と同じではないか。
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