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「辞めなくてもいいぞ。その為に護衛をつけてんだ」
「本当ですか?でも…申し訳ないです…」
とりあえず悟の居場所を特定して、動向を探ろう。
二階堂も悟には物申したいことも沢山あるので、全面的に協力すると言っている。アイツがイカれていても、捕まると分かっていてのこのことうちのシマには現れないだろう。
きっと大丈夫だ。
誠吾はそう思いながら大切な恋人を強く抱き締めた。
「それでは、学校が終わるまで待機して居ますので。行ってらっしゃいませ」
護衛の組員に車で校門まで送ってもらい、遥と青山は高校に登校した。
自分が高校に通いたいと言ったせいで、一緒に通ってくれる青山にも、毎日送迎をしてくれる組員にも迷惑をかけている。
遥はそのことが心苦しかった。
誠吾さんはこのまま高校に通っていいと言うけれど……皆に迷惑をかけてまで通うのは申し訳ない。
やっぱり………高校は諦めた方がいい気がする。自分から言わなくちゃ。
誠吾さんは優しいから、僕に辞めろなんて言えないんだ。
「遥さん、どうしました?」
隣を歩く遥が、無言で思い詰めた顔をしているのに青山は気付いた。
寝不足だと言っていたが、今日は顔色も悪く具合が良くなさそうな気がする。
「何でもないです。涼太さん、行きましょ」
高校は辞めよう。
でも、今日だけは……せめて最後だけは高校生活を楽しみたい。
退学の件は、涼太さんには後で言おう。
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