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『来ねぇならこの姉ちゃん殺すけど?』
さらっと物騒なことを言う悟に遥は言葉を失った。
きっと悟は何の迷いもなく瞳を殺すだろう。自分が助けに行かないせいで瞳を見殺しにするなど、遥には出来なかった。
「行きます……。何処に行けばいいのですか?」
『黒川のシマには俺は入れないから、羽鳥のシマに来い。お前のよく知ってる奴に案内させるから』
遥が悟の元に向かうと聞いて、悟は上機嫌に話し始めた。
『校舎の裏に案内する奴を待たせてるから、お嬢ちゃんは青山を置いてそこまで一人で来い。誠吾にも連絡すんなよ』
「分かりました………」
遥は電話を切ると大きく深呼吸をした。
今から青山に嘘をつかないといけない。
自分のせいで青山が怒られることにならなければよいのだが………。
「遥さん、電話誰からでした?」
「島村さんからでした。あの……今日は体調が良くないのでお休みされるみたいです…」
今僕は自然に話せているだろうか。
青山さんに変に思われていないかな。
「遥さんこそ今日は体調悪そうですけど…」
「あ……そ、そうですか?お腹の調子がまた良くないので……ちょっとトイレに行ってきますね」
青山の頬が赤くなる。
また誠吾に中に出されて腹を下したのだろうと思ったのだ。それなら具合が悪そうなのにも納得がいった。
「じゃあ、トイレまでお供します」
「あの……恥ずかしいので、ここで待っていてくれませんか?トイレ、すぐそこですし」
教室から見えるトイレを指して遥がお願いすると、青山は分かりましたとトイレが見える廊下に出て遥がトイレに入るのを見守った。
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