第5夜

5/18
前へ
/232ページ
次へ
俺は馬鹿だ。 頭が悪いことは自覚していたが、ここまで馬鹿だなんて……。 青山は窓から飛び出て走りながら、懐から携帯を取り出すと誠吾に電話を掛けた。 『青山か?何かあったのか?』 「姐さんが……消えました」 遥は自分の意思で学校から出ていったようだった。 直前に掛かってきた瞳からの電話。 おそらくあの電話で呼び出されたのではないだろうか……。 山田が姿を見せないのも気になる。 青山にはそこまで悪い奴には思えなかったが、遥の失踪と関係があるのではないかと思われた。 青山が簡単に状況を誠吾に説明すると、誠吾は思いのほか冷静な声で青山に指示を出した。 『遥のGPSを追う。お前は学校前の白井と合流しろ』 「本当に申し訳ありません……。俺がついていながら…二度も……」 『そういうのは後だ。とりあえず遥を奪い返す』 青山からの電話を切ると、誠吾はすぐに山根を呼び出した。 「遥が姿を消した。GPSを追ってくれるか」 「かしこまりました」 山根は詳しく状況を聞かなくても何が起こったのか、誠吾の表情を見れば分かる。 誠吾は落ち着いて話しているが、鬼のような形相をしていた。 急いで遥のGPSを追うと、遥は車で移動しているようだ。東に向けて動いているので、羽鳥のシマに向かっていると思われた。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2796人が本棚に入れています
本棚に追加