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俺は馬鹿だ。
頭が悪いことは自覚していたが、ここまで馬鹿だなんて……。
青山は窓から飛び出て走りながら、懐から携帯を取り出すと誠吾に電話を掛けた。
『青山か?何かあったのか?』
「姐さんが……消えました」
遥は自分の意思で学校から出ていったようだった。
直前に掛かってきた瞳からの電話。
おそらくあの電話で呼び出されたのではないだろうか……。
山田が姿を見せないのも気になる。
青山にはそこまで悪い奴には思えなかったが、遥の失踪と関係があるのではないかと思われた。
青山が簡単に状況を誠吾に説明すると、誠吾は思いのほか冷静な声で青山に指示を出した。
『遥のGPSを追う。お前は学校前の白井と合流しろ』
「本当に申し訳ありません……。俺がついていながら…二度も……」
『そういうのは後だ。とりあえず遥を奪い返す』
青山からの電話を切ると、誠吾はすぐに山根を呼び出した。
「遥が姿を消した。GPSを追ってくれるか」
「かしこまりました」
山根は詳しく状況を聞かなくても何が起こったのか、誠吾の表情を見れば分かる。
誠吾は落ち着いて話しているが、鬼のような形相をしていた。
急いで遥のGPSを追うと、遥は車で移動しているようだ。東に向けて動いているので、羽鳥のシマに向かっていると思われた。
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