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「先生のこと……信じてたのに…」
「悟には君を殺さないよう頼んでおいたから大丈夫だよ。君は俺の可愛い生徒だからね」
穏やかな笑顔はいつも教室で見ていたものと同じで、何故担任の池田がこんなことをするのか分からない。
「あの人に頼まれたって……先生とあの人はどんな関係なんですか?」
「ん?ああ。アイツは俺の弟でね。アイツ養子に行ったから姓が違うけどね」
先生とあの人が兄弟?
全然似てないのに……。
先生はいつも笑ってて穏やかで…優しかったのに。
「アイツに黒川を見張るためにこの地域に潜伏するように頼まれてさ、丁度教員の空きがあったので臨時採用してもらったんだけど……」
「そんな…………」
「最初は君がターゲットなんて知らなくてさ。悟に聞いて吃驚だよ」
はははと楽しそうに笑いながら話す池田は不気味だった。
笑って話すような内容じゃないのに。
「尾崎は可愛いからなぁ。用が済んだら俺にくれって悟に頼んであるからな」
まるで遥のことを玩具か何かのように話す。
ああ、この人は確かにあの人の兄弟なのだなと遥は思った。
悟も自分のことを物か何かのように扱っていた。
「まあ、暫く悟のお遊びに付き合ってやってよ」
「島村さんまで巻き込んで……」
「ああ、島村なぁ。大丈夫大丈夫、まだ生きてるから」
池田は軽い調子で言うと鼻歌を歌い始めた。
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