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宇宙人と話してるみたいだ。
人の命を何だと思ってるんだろう。
遥は悔しくて唇をきつく噛んだ。
池田の運転する車は繁華街を抜けて工業地帯に入っていく。
見慣れない景色に遥は不安になった。
ここはどこなのだろうか。
「はい、着いたよ」
車から降りると遥の両手にカチャリと手錠が掛けられた。
池田に背中を押されて薄暗い廃工場を奥へと進んで行く。この先に瞳が居るのだろうか。
「やあ、黒川のお姫様久しぶりだね」
工場の奥の小部屋に悟は居た。
にこにこしながら優雅に椅子に座っている。
髪が短く刈られており、以前と若干印象が変わっていた。
悟の足元では、両手足を縛られた瞳が倒れていた。
「島村さん……!」
遥は瞳の元へ駆け寄った。
外傷は見られず眠っているようだ。
「睡眠薬しか使ってないからね。この子にはまだ何もしてないよ」
「僕はちゃんとここに来たでしょう?島村さんを解放して下さい」
遥がキッと悟を睨むと、悟は面白そうに声を上げて笑った。
「いいねぇ。その顔、そそるわ」
「悟、尾崎は俺が貰うんだからな」
「兄貴、遊び終わるまで我慢しろよ。おい、連れてこい」
悟が入口に立っていた手下に声を掛けると、奥から鎖に繋がれた男が連れてこられた。
「山田さん!何で…山田さんまで……」
「尾崎…………」
山田は傷だらけで酷い暴行を受けたようだ。
呼吸も荒く苦しそうな山田に近寄ろうとしたところで、遥は後ろから強い力で引っ張られた。
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